msumimz's diary

RubyにJITコンパイラを実装する個人プロジェクトの情報発信ブログです。

Ruby

メソッド引数とselfを実装しました

久しぶりの更新になります。遅々として進みませんが、開発が行き詰まっているわけではなく、仕事が多忙であまり時間がとれないためです。*1さて、前回はベンチマークを取り、その結果、単純にJITコンパイルしただけで高速に実行されるわけではないことが判明…

先ほどのベンチマークのコードがどのようにコンパイルされたか

参考までに、先ほどのコードがどのようにコンパイルされたか見てみましょう。元のメソッドは下記のとおりです。 def m1 i = 1 sum = 0 while i <= 10000 sum += i i += 1 end sum end JITコンパイルされた結果は以下の通りです。*1 03450016 mov edi,3 ; i =…

最初のベンチマーク

これまでにif、while、メソッド呼び出し、ローカル変数のコンパイル処理を実装してきました。すでに簡単なプログラムが動くくらいになっていますので、この辺りでJITコンパイルされたコードの速度を確認してみたいと思います。コードは以下の通りで、1から10…

whileを実装しました

こんなコードが動きます。 def m1 i = 1 sum = 0 while i <= 10000 sum += i i += 1 end sum end precompile Object, :m1 puts m1 # => 50005000 たかがwhileにどれだけ時間かかってるんだという感じですが、機能追加に合わせて周辺コードを追加・変更してい…

メソッド呼び出しを実装しました

対応したのはMRIの内部でNODE_CALLと呼ばれる、レシーバを指定した形式です。そのうち、引数が単純でブロックを取らないもの限定です。足し算なども内部ではメソッド呼び出しですので、例えば以下のコードが動きます。 def m 1 + 2 end precompile Object, :…

ローカル変数参照を実装しました

ローカル変数参照を実装しました。以下のコードが実行できます。 def m if true a = 10 else a = 20 end a end precompile Object, :m puts m # => 10 LLVMは優秀なので、上のメソッドはこんなコードにコンパイルされます(x86の場合)。 mov eax, 15h ret 1…

if文を実装しました

ついでにtrue/false/nilリテラルも実装しています。 以下のコードが動くようになりました。 def m if 1 10 else 20 end end precompiled Object, :m puts m # => 10 実装した構文はifだけですが、内部でコントロールフローグラフをSSA形式というものに変換す…

最初のJITコンパイラを実装しました

JITコンパイラの最初のバージョンが動くようになりました。このバージョンのminirubyには、Object#precompileというメソッドが追加されています。これは precompile <クラス>, <メソッド名(シンボル)> という書式で呼び出すことで、で指定されたメソッドの…

MRIソースコードを読む その1 メソッド定義の実装(下)

vm_method.c:rb_add_method()ですが、エラーチェックしながらデータを設定しているだけです。せっかくですのでJITコンパイラを実装するために必要そうな知識を整理しておきます。メソッド定義に関係するデータ構造は、rb_method_entry_tとrb_method_definiti…

MRIソースコードを読む その1 メソッド定義の実装(中)

さて、(上)に続いてメソッド定義の実装を見ていきます。core#define_methodの実体はvm.c:m_core_define_method()です。 #define REWIND_CFP(expr) do { \ rb_thread_t *th__ = GET_THREAD(); \ th__->cfp++; expr; th__->cfp--; \ } while (0) static VALU…

MRIソースコードを読む その1 メソッド定義の実装(上)

自分向けの備忘録として、MRIのソースコードを読んだ結果メモを記録しておきます。以下のソースコードは def m 1 end 次のISeqにコンパイルされます。 == disasm: <RubyVM::InstructionSequence:<main>@-e>====================== 0000 trace 1 ( 1) 0002 putspecialobject 1 0004 putspecialobj</rubyvm::instructionsequence:<main>…

RubyでASTやIRを表示する

JITコンパイラを書くには、まずRubyの生成するASTを調べる必要があります。そのためのツールとして、以前に読んだ「Rubyソースコード完全解説」でnodedumpという外部ライブラリを使っていました。 じゃあそれを使おうと思ってググってみましたが、どうも最新…

デバッガにブレークするメソッドを定義する

MRIのコードを読む準備として、デバッガにブレークするメソッドをObjectクラスに定義します。 minirubyだけでは外部ライブラリを構築できませんので、object.cに直接書いてしまいます。 まず、以下のコードをobject.cのInit_Object()の前に追加します。 stat…

Visual Studioプロジェクトを作成する

Windows版のRubyをVisual Studioでビルド・デバッグできるようにVisual Studioのプロジェクトを作成します。 ソース配布ではnmakeを使ってビルドするようになっていますので、Makefileを解析して同じビルド手順を再現します。 なかなか手ごわいMakefileです…

ごあいさつ

このブログは、RubyにJITコンパイラを実装する個人的なプロジェクトの情報を発信するブログです。ちなみにまだコードは1行も書いていません。 プロジェクトの目標は次の通りです。 本家より高速に動作するRubyエンジンを実装する。 本家との100%互換性を維持…